こんにちは。日本膝の痛み研究所福岡支部「未病リハビリセンターハレル」の今林です。
本日は変形性膝関節症の術後の対処法についてお話します。
・膝の痛みを取りたくて手術をしたのにまだ痛い
・炎症反応があるからと痛み止めを飲んでいるが炎症が引かない
・手術の後は具体的に何に気を付ければ良いかわからない
上記のような症状で悩んでいませんか?このブログでは正しい原因や対処方法についてお伝えします。是非ご参考にしてください!
人工膝関節とは
人工膝関節とは薬物・理学療法などの保存療法が無効、もしくは関節の温存が適応とならない方の最終手段として手術によって関節の代わりに使用される人工の関節です。
変形した骨や軟骨を取り除き、金属やポリエチレンなどの人工物に置き換えます。神経の存在しない人工物で動いているので、人工関節手術は他の治療方法に比べて、短期間で痛みをとる効果に優れた手術方法になります。
人工膝関節には全人工膝関節(TKA)と単顆人工膝関節(UKA)の2種類があります。
TKAは変形性膝関節症や関節リウマチなどにより変形した関節を、すべて人工膝関節で入れ替えることで痛みがなくなり、歩行能力の改善が見込まれます。
患者さんの年齢や骨の形状、質によって骨セメントを用いる場合とセメントを使用せずに直接骨に固定する場合とがあります。
手術時間は通常1~2時間程度で、ほとんどの患者さんは術後6週間以内に杖を使って歩くことができます。ほとんどの場合、痛みやこわばりが解消し、多くの日常的な動作ができるようになり、入院期間は約2ヵ月程度です。
TKAは膝関節の悪い患者さんに多くの恩恵をもたらしますが、長い年月が経過すると緩みが生じ、入替えの手術が必要となる場合があり、再置換手術を受けると、1~1ヵ月半の入院で、ほぼ元通りに復帰することが可能です。
手術の合併症として、感染、血栓症などのリスクもあるので、手術に際しては専門家や医師によく相談されることをおすすめします。
UKAは膝関節のすべてを人工物に置き換えるTKAと違い、悪くなっている一部分だけを人工物に置き換える手術です。したがって、膝関節のその他の部分を温存できます。何より、前十字靱帯と後十字靱帯を温存できるので、膝関節の生理的な動きが期待できるのがメリットです。
手術時間は通常1~2時間程度です。手術後はほとんどの場合で痛みやこわばりが解消し、日常的な動作ができるようになります。入院期間は2週間程度です。
しかし、膝関節の内側と外側、内側と膝蓋骨の関節軟骨というように、複数個所が損傷している場合にはTKAの適応となります。
人工関節置換術は保険の適用される手術で、所得により多少の開きはありますが70歳未満の方で約8~10万円程度、70歳以上の方では約4~5万円程度です。
人工膝関節のデメリットとは?
人工膝関節のデメリットは、人工物であるため耐用年数があります。
一般にその耐用年数は、15~20年といわれています。
そのため今までは、60歳以上の方を対象として手術をされていることが多くあります。
近年では人工関節の寿命も、材質の加工技術や手術手技の進歩、インプラントデザインの改良や選択幅の拡大などにより、耐用年数が20年以上のものが出てくるようになってきています。
また、人工の関節であるため、以前のような生理的な膝関節の動きが困難になります。
そのため、姿勢の変化や、動作のしにくさ、以前は痛くなかった腰や股関節が痛くなってしまうなど膝関節以外の様々なことに問題が生じます。
手術後に日常生活で気を付ける7つのこと
日常生活を送るには家事や着替えなどで様々な動作が必要になります。すべてを紹介するのは難しいため、今回は7つご紹介します。
①姿勢
正座やあぐらは人工関節に大きな負担がかかります。そのため、できるだけ避けましょう。また、人工関節が脱臼する場合があるため、足は組んだりしゃがみこんだりするときには注意が必要です。
②自転車の運転
自転車の運転はできますが、坂道を登るときは、降りて押す方が人工関節にかかる負担が少なくてすみます。
③家事
よく使うものは立ったままで手の届く範囲に置いたり、床拭きにはモップを使ったり、洗濯ものを干すときには片足だけに体重がかからないようにしたり、買い物ではショッピングカートを使って重い荷物を持たないなど、人工関節に大きな負担をかけない工夫をしましょう。常時10kg以上の荷物を持たないようにしましょう。
④着替え
ズボンやパンツ、靴下は椅子に腰掛けて着替えるようにすると良いでしょう。足を入れる順番も、最初に手術した足から、脱ぐときはその逆です。
⑤入浴
マットを敷くなどしてすべらないようにして下さい。浴槽の出入りも、手術をしていない方の足を先にしましょう。
⑥トイレ
洋式トイレを使うようにしましょう。外出先などで和式トイレしかない場合は、人工関節に負担をかけてしまうため注意が必要です。
⑦運動
テニス、ジョギング、スキー、野球、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどの激しい運動は人工関節が磨耗したり、破損したりする原因となるので避けましょう。
散歩や水泳などの軽い運動や体重のかかりにくい運動は、体に負担にならない程度であれば大丈夫です。
治療のポイント
人工膝関節は膝の痛みを改善しやすく、痛みが改善したことで、以前より日常生活が送りやすくなります。しかし、完全には痛みを解消することはできません。痛みを解消するためには、根本的治療を行う必要があります。根本的な治療には、下記の治療を行う必要があります。
・背骨の調整
・体幹筋(お腹の筋肉)を使っている姿勢・動作を身につける
・習慣化できるまで脳みそで学習する
人工膝関節にして膝の痛みが改善しても、膝の痛みの原因を根本的になくす必要があります。そのためには、膝の痛みの原因となっている姿勢や動作を改善していく必要があります。
背骨を調整し、体幹筋が力を発揮しやすくなると姿勢や動作がしやすくなります。しかし、その状態を維持するには、脳みそが学習し、習慣化する必要があります。
人工膝関節になっても痛みが解消されないあなたへ
膝の痛みを解消したくて手術を行ったのに、完全には痛みが解消せずに満足のいく生活が送れずにつらい思いをされていると思います。しっかりと問題を解決してあげれば、痛みなく仕事や日常生活が送れるようになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?人工膝関節にしても、膝の痛みには様々な原因があります。しっかりと原因を見つけ、その原因に対して施術をしていく必要があります。ただ「電気治療」「筋トレ」「マッサージ」だけでは完治は難しいでしょう。専門家に体の状態をしっかりとチェックしてもらう必要があるでしょう。